不動産の売却で損をして欲しくない!
~これが私たちの会社設立の動機でした~
住み替えや相続等で不動産を売却する際、売却の事情やタイミングによっては、不動産を思ったよりも安く手放すことがあるかもしれません。しかし、その理由を理解のうえ判断したのであれば、納得できるでしょう。
ところが残念なことに、現実には不動産の売却で、「売主が知らないうちに損をしている」と思われるケースが少なくありません。不動産の売却は高額で慣れない取引であること、そして、不動産の取引慣行が想像以上に閉鎖的でわかりにくいことが大きな要因だと思われます。少し極端ですが、以下に2つの例をあげます。
「安心だから」と、マイホームの売却を規模の大きな不動産会社に依頼したAさん。ところが、ノルマに追われる担当者Xは、Aさんの物件をXにとって都合の良い(Xの成績につながる)買主に安く売ることを計画。Aさんに対し丁寧で熱心な(ように見える)報告を繰り返す一方で、他からの(Aさんに有利となる可能性のある)申し出を一切受け付けなかった。しかし、会社の信頼性とXの丁寧で熱心な姿勢に心を許したAさんは、Xのことをすっかり信用。結局、Xの勧める買主へXの提案する価格で売却…。
Bさんは、知り合いの息子さんであるYが勤める規模の小さな不動産会社を紹介された。会社は賃貸管理が専門で売買取引の実績は多くなかったが、Bさんは真面目なYを信頼して売却を依頼。数日後、売物件の情報を知った別の不動産会社の担当者ZがYを訪ねて、「実際の相場は○×だから、この金額で買わせてほしい!こんな良い話は他にないですよ!」と、大幅な値引きをした購入申込書を提示。Zのこの自信満々な様子に、売買取引や交渉の経験が少ないYは説得され、Bさんに値引きを提案…。
これらの例では、AさんはXの策略により、Aさんに有利となる可能性のある申し出を受け取ることはできませんでした。Bさんは頼みの交渉窓口となる担当者Yの力不足により、Zの強気で巧みな交渉に一気にのみ込まれてしまいました。そして両者とも、相場より安く不動産を売却しています。
現状の不動産売買では、相手先と直接交渉するのはその物件の担当者になるため、その担当者に交渉の権限が大幅に委譲されてしまっているのです。その結果、窓口となる担当者の思惑や交渉力次第で売却価格に大きく違いが出てくるのです。
ところがその後、AさんもBさんも、大きな不満はありません。不動産は個別性が高く他と比較しにくいことや、成約条件の詳細が個人情報のため公開されないこともあって、AさんもBさんも(おそらくYも)安く売った事実を知ることがないからです。それどころか、Xの熱心さやYの一所懸命さに満足しているかもしれません。そして、当事者からの苦情や不満の出にくいこの問題は改善される機会のないまま、こういった状況が繰り返されている。これが実態であり、悲しき不動産売買取引の慣行です。